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    家庭用プラネタリウム

    プラネタリウム(英:Planetarium)とは、惑星(英:planet)の運動を再現し映写する装置(天体投影機)をいいます。家庭用プラネタリウムは商業用のプラネタリウムを小型化し、自宅で手軽にプラネタリウムを楽しめるものにしたものです。現代の天体投影機は、惑星のみならず、恒星を含む星空全体とその運動を再現する装置へと進化しており、プラネタリウムは投影機のほか投影用スクリーンを含めた星空を再現するための天体投影設備を設置した施設全体を指すことも多い。ドーム状の建造物の内部に設置された投影機から星の像をスクリーンの役割を果たす天井に投影、さらに投影機を精密に動かすことで星空の運動を再現し、地球上の任意の場所・時代の星空を投影することができる機能を有したものが科学館や博物館を中心に設置されている。先進国を始めとする国の山間部には多くの公開天文台が設置され、その一環で併設されているプラネタリウムも多い。日本語では天象儀(てんしょうぎ)と訳されることもある。

    投影される内容

    主に季節毎の星空を、星空にまつわる話を交えて投影することが多い。投影機で星を投影する以外にも、OHPやスライドプロジェクタなどを利用してドーム内に絵を映し出すなど、話の進め方にもさまざまな工夫を凝らしている。また、流星群や日食、彗星の接近などの天文イベントがある場合は、それらの話題も加わることが多い。施設によってはアニメーションの上映や、CDや生演奏でのコンサートといった天文学習ではない「癒し」を目的としたイベント、実際の天体観測とリンクしたイベントなど、投影の仕方も多彩になっている。投影される内容は「番組」と呼ばれ、プラネタリウム番組専門の製作・供給会社が製作したもののほかに、各施設の職員が投影する番組を自ら作成する「お手製番組」がある。投影方法自体も、あらかじめプログラムした内容で投影機を自動で作動させ、自動的に投影する方法(俗にオート番組と呼ばれる)と、オペレーターがその場で解説を行い、それに併せて投影機も手動(もしくは半自動)で操作するという投影方法(俗に生番組と呼ばれる)、あるいは両者の組み合わせなど、各施設で特色のある内容となっている。

    構造

    主投影機

    電球の光を使って星像を投影する光学式、ビデオプロジェクターを使ってドーム全面に映像を投影するデジタル式、その両方を取り入れたハイブリッド式に大まかに分類される。

    光学式投影機

    恒星球と呼ばれる球形または半球形の恒星投影機の中心に光源となる電球(主にハロゲンランプやメタルハライドランプが用いられるが、近年では白色の高輝度LEDも用いられる)を設置し、その光を恒星の光に見立ててドーム内に投影する方式。恒星球の構造により、ピンホール式とレンズ式に大別される。また形状により、緯度軸を中心に恒星球が北半球用と南半球用とそれぞれ独立して存在する二球式と、北半球用・南半球用の恒星球を合わせてひとつの球形(またはほぼ球形)とした一球式に大別される。二球式はさらに、主にカール・ツァイスやコニカミノルタプラネタリウムが採用する緯度軸を中心として緯度軸→惑星投影機群(惑星棚と呼ぶ)→恒星球という順で構成されるツァイス型と、主に五藤光学研究所が採用する緯度軸→恒星球→惑星棚という順で構成されるモリソン型とに区別される(なお、五藤光学研究所のGSS-IおよびGSS-IIは惑星投影機群が独立して設置されているが、惑星棚を廃止したモリソン型である)。近年では、大型の二球式投影機は投影機本体により観客の視野が遮られてしまうことから減少傾向にある。

    光学式における天体の運動は日周運動、方位、緯度、歳差の 4軸で制御される。ただし、歳差軸は一球式の場合省略されることがある。歳差軸を省略した場合は、歳差によって天の北極(南極)が移動した場合の日周運動を仮想軸を使って再現する。また、地平線下に恒星が投影されないように、主投影機には恒星シャッターが設けられている。恒星シャッターは重力式とXY制御式の2種類あるが、ドームが水平式の場合は重力式、傾斜式の場合はXY制御式を用いる(ドームの形式については後述)。また主投影機本体には恒星シャッターを設けず、恒星球をすだれ形シャッターで覆う方式をコニカミノルタプラネタリウムが採用している。

    ピンホール式投影機
    球状もしくは多角形の恒星球に、投影する恒星の等級に応じた穴をあけた構造。光源となる電球のフィラメントが回折して星像に悪影響を与えるので光源はできるだけ無指向、点光源に近く恒星球は大きいほどシャープな星像を得られる。構造が単純なため、中学校や高校などの学校教材として用いられるほか、アマチュアの天文サークルや個人によって自作されることも多い。アマチュア用だけでなく、アメリカのスピッツ社の大型ピンホール式投影機は全米各地の教育施設に納入されているほか、フランスのラ・ヴィレット公園にあるシテ科学産業博物館でも使用されている(明るい星はレンズで投影)。また、移動式のプラネタリウムの製品、ラーニングテクノロジー社のスターラボや、AE社のキューベックスなど、多くがピンホール式である。
    レンズ式投影機
    恒星球に内蔵された恒星原板と呼ばれる恒星の座標・等級に応じた小穴を開けた薄い金属箔(全天を32分割して、32枚の恒星原板を用意する)に光源の光を通し、その光をさらに集光レンズを通して集約し、ドーム内に投影する方式。ピンホール式に比べて光の経路はより複雑になり、多くのレンズを恒星球に仕込まなければならない関係上、軽量化・小型化・低価格化が難しいものの、ピンホール式よりシャープな星像を容易に得ることができ、また恒星原板さえ作成できれば投影する恒星の増加にも対応可能である。現在、プラネタリウム投影機の主流を成している方式である。近年では、カール・ツァイスの投影機などでは光源から恒星原板へ光を導くための導光路として、光ファイバーを使用するものもある。これにより、等級に応じて光の強度を変えることができるため、星像がよりシャープになる。また、従来は光源からの光の9割以上は無駄になっていたが、光の利用効率が高まるという利点もある。この結果、光源ランプの出力が少なくて済み、消費電力を減らすことができるようになったが、光ファイバーを恒星原板に直接植え付ける構造のため、光学系の小型化や再現できる恒星数に限界がある点も否めない。半導体製造技術で発達した微細加工技術を応用して導光路を形成する方法も開発されつつある。
    惑星投影機群
    主投影機に惑星棚を採用する場合は、水星、金星、火星、木星、土星、月および太陽をギアの組み合わせで運動を忠実に再現する。これらの惑星投影機はプラネタリウムという名称の由来でもあり、最も精緻な機構である。ただし、再現できる時間に限りがあり、現在を起点として数千年の範囲である。惑星投影機群を主投影機より独立させる場合は、各々の投影機をXY制御すれば良いので、機構が簡単で、天文計算ができる限りどこまでも運動を再現できる。また、この機構を応用してドームスクリーン上に太陽を中心とした太陽系の各惑星の軌道を再現する(つまり太陽系を外宇宙から見たような視点から見る)ことが可能な機種もあり、こうした機能を持つ投影機を『宇宙型』として区別する場合もある。
    補助投影機
    ピンホール式でもレンズ式でも、恒星の明るさは恒星球もしくは恒星原板に開けられた穴の大きさで表す。これはドームスクリーンに投影された星像の大きさが恒星によって違うことを意味するが、観客が肉眼で見た時にはその大きさの変化を識別できず、明るさの違いとして錯覚されることを利用している。しかし、最も暗い恒星の穴の大きさを基準として単純に穴の大きさを計算すると、最も明るい恒星(シリウス)の大きさが月の直径より大きくなるなどの問題が生じる。これを避けるため、一等星などの明るい恒星については、ブライトスター(輝星)投影機と呼ばれるその恒星専用の投影機を用いる。恒星原板を通して投影される恒星には色がついていない(電球色)が、ブライトスター投影機で投影される恒星にはスペクトル型に応じたフィルターをかけ、恒星の色を再現することができる。また、変光星のように明るさが変化する恒星や天の川を再現する場合にも専用の投影機が用いられる。この他にも観客に星座や季節の移ろいなどを分かりやすく解説するために、方角を示す文字や地平線の風景、天の赤道・黄道・子午線などの座標線、星座線、星座絵などを投影するための投影機が使われる。先述のブライトスター投影機を含め、これらの投影機を総称して補助投影機という。変わった補助投影機としては、二至二分投影機(春分、夏至、秋分、冬至の太陽を同時に投影する)、流星群投影機、雷投影機、オーロラ投影機などがある。

    デジタル式投影機

    デジタル式では、ドームの全面または一部を1台または複数のビデオプロジェクターを使って映像を投影する。1台のプロジェクターを使用する場合は魚眼レンズを使うことが多いが、解像度および輝度の点で満足できないことが多い。最初のデジタル式プラネタリウムと言えるのはアメリカのエバンズ&サザーランド(Evans & Sutherland)が開発したDigistar(デジスター)である。これは魚眼レンズを用いる方式であった。なお、Digistarは白黒でベクトル式描画である。その後、五藤光学研究所により複数のビデオプロジェクターを組み合わせてドームに投影する方式を採用したVirtuarium(バーチャリウム)[1]が開発・商品化される。Virtuariumはカラーでラスター式の描画である。Virtuariumに続いて同様の方式に基づいた、エバンズ&サザーランドのStarRider(その後Digistar 3に続く)、アメリカ・スカイスキャン(Sky-Skan Inc.)のSkyVision(その後DigitalSky2 に続く)、スピッツのDigiDome、カール・ツァイスのADLIP[2]などが開発された。また、小規模ドーム用に魚眼レンズを用いて投影するMEDIAGLOBEがコニカミノルタプラネタリウムによって販売されている。

    デジタル式プラネタリウムはコンピュータグラフィックスなどを使って自由に映像を展開できる点で、プラネタリウム番組の表現力が大幅にアップするメリットがある。その反面、プロジェクターの進歩こそあるものの、恒星の輝き方や宇宙の暗黒部の再現といった部分は現在でも光学式には遠く及ばない。アメリカではデジタル式が流行しているが、光学式に対する根強い支持もある。

    ハイブリッド式投影機

    光学式投影機とデジタル式投影機を両方設置し、投影する番組の内容に応じてそれぞれの投影機を別々にも同時にも使用可能としたシステムを指す。光学式の精緻な星像とデジタル式の自在な映像という双方の利点を併せ持ち、より臨場感溢れる番組制作および投影が可能となる反面、複数の投影機が必要となることからイニシャルコストの面ではどうしても割高になってしまう欠点もある。また、投影機を複数台稼動させることに伴う操作系の複雑化や、システムの特色を最大限に生かした番組を制作しようとする場合、番組製作に掛かる時間的コストや人的コストも無視することはできない。

    ハイブリッド式投影機に用いられる機材(光学式投影機とデジタル式投影機)はほとんどの場合同一のメーカーで揃えることが多く、投影機メーカーもこうした運用に対応した機材を各種ラインアップしている(五藤光学研究所のCHIRON、コニカミノルタプラネタリウムのジェミニスター、カール・ツァイスの UNIVERSARIUMなど)が、まれに導入する側の意図により、光学式投影機とデジタル式投影機が異なるメーカーになることもある(一例として大阪市立科学館では、光学式投影機はコニカミノルタ製を使用しているがデジタル式投影機は五藤光学製を採用している。そのため、システム全体の呼称もコニカミノルタにおけるハイブリッドシステムの呼称である『ジェミニスター』は使用していない)。

    このように導入時や運用時におけるコストなどの問題はあるものの、多彩な投影と柔軟な運用が可能であることからハイブリッド式投影機の需要は高く、現在、施設の新規建設・改築や既存機材の老朽化にともなう投影機の更新や入替の際にハイブリッド式投影機を導入する施設は増加している。

    なお、『ハイブリッドプラネタリウム』という呼称で呼ばれることもあるが、この呼称は五藤光学研究所の登録商標である。

    投影ドーム

    ドームの形状としては、大きく水平式と傾斜式に分けられる。水平式は実際に空を見上げたようにお椀型のドームをかぶせたような形状で、実際に野外で星空を眺める行為により近く、直感的である。水平式の場合は座席を投影機を中心とした同心円状に配置することが多かったが、解説映像を見せながら進行する番組が増えてきた影響で、特定の方向を向くように並べる方式も採用されている。

    一方傾斜式は、ドームを5-30度ほど傾け、座席を一方向に向けて階段状に配置する方法である。この方式のメリットは、どの座席に座っても比較的プラネタリウムの投影像を見やすいことである。ただし、IMAXなどの全天周映像が同時に導入される機会が増えたこととも無関係ではない。このような構造を採用した施設を宇宙劇場(Space Theater)と呼ぶことがある。

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